(1)日本への上陸の為の条件

一般上陸許可

 入管法では、外国人が日本の領域(領空、領海)に入ることを「入国」といい、一方で、日本人が日本の領域に入ることを帰国といいます。また、日本人、外国人を問わず、日本の領土に入ることを「上陸」といい、「入国」と「上陸」を区別して使用しています。外国人が日本に入国する際には、船舶か航空機で領域に入ることになると考えられますが、日本に上陸する為には、入国した港または空港で入国審査官による審査を受け、いくつかの条件を満たす必要があります。通常、外国人は日本での活動内容に応じた在留資格を持って入国・在留しなければならず、この審査によって認められる上陸を「一般上陸許可」といいます。これに対し、在留資格を持っていなくても上陸が認められる場合があり、これを「特例上陸許可」といいます。今回は一般上陸許可の際の上陸の為の条件について説明します。

上陸の為の条件

 日本に入国した外国人は、まず、出入国港において、入国審査官に対して一般上陸許可を受ける為の審査を申請します。申請の際、外国人は入国審査官に対して、電磁的方式によって個人識別情報として「指紋」及び「写真」を提供しなければいけません(短期滞在に係るみなし再入国許可制度により再入国許可を受けた者とみなされる者の場合、指紋のみでよい)。入管法では、上陸の為の条件を4つ定めており、通常、入国審査官は審査の際、上陸許可の申請をした外国人が、この4つの条件の全てに適合しているかどうかを審査します。なお、上陸の為の条件に適合しているかどうかは外国人自らが立証する必要があります。

上陸の為の条件(入管法7条1項)

  • 1号の条件所持する旅券及び、査証を必要とする場合には、これに与えられた査証が有効であること。
  • 2号の条件:①申請に係る日本において行おうとする活動が虚偽のものでないこと。別表第1の下欄に掲げる活動又は別表第2の下欄に掲げる身分若しくは地位を有する者としての活動に該当すること。(ただし、「高度専門職2号」及び「永住者」を除く。また、「特定活動」及び「定住者」については、法務大臣があらかじめ告示をもって定めるものに限る。)③別表第1の2の表及び4の表の下欄に掲げる活動を行なおうとする者の場合は、我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合すること(「特定技能1号」は、1号特定技能外国人支援計画が2条の5第6項及び7項の規定に適合するものであることを含む)。(これを「上陸許可基準」という)
  • 3号の条件申請に係る在留期間が、各在留資格について法務省令で定める規定(2条の2第3項)に適合するものであること。
  • 4号の条件上陸の申請を行った外国人が、上陸拒否事由(5条1項各号)のいずれにも該当しないこと。

(2)上陸許可基準

 「上陸許可基準」とは、ある一定の在留資格による外国人の受け入れ範囲を、その時々の国内外の情勢に応じて調整することを可能とするための制度で、上記の上陸の為の条件における2号の条件③に「我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合すること」と定められ、入管法別表第1の2の表又は4の表の在留資格に該当する外国人に対して適用されています。具体的な基準内容は、当該外国人の経歴、日本で受ける報酬額、日本での所属機関などがあります。この制度により、入国する外国人が日本で行おうとする活動が、対応する在留資格に該当することだけでなく、上陸許可基準に適合することも要件とすることで、受け入れる外国人の範囲を限定しています。また、この基準は国内外の情勢の変化に応じて適宜見直すことができる様に、入管法ではなく法務省令で定められています。

 以上が、「日本への上陸の為の条件と上陸許可基準制度」についての説明です。今回説明した上陸の為の条件の1つを証明する書類として、「在留資格認定証明書」があります。外国人の方が、日本に入国・在留する為には、まず、この書類を取得する必要があります。行政書士(申請取次行政書士に限る)は、日本への入国・在留に関する様々な申請を、外国人の方に代理して申請することができる書類作成の専門家です。日本での就労や生活をご希望の外国人の方や、外国人材を雇用したいとお考えの事業者様は、当ブログをご覧頂き、是非、当事務所にご連絡ください。当ブログ又は以下の当事務所ホームページからお問合せをお願い致します。

「行政書士梅田ゆうき事務所」