(1)背景

 近年、社会問題となっている働き手の人材不足ですが、この問題は建設業界においても同様です。建設業は社会インフラを支える重要な産業分野であり、人材確保は大変重要なテーマとなっています。また、建設業では、年齢別賃金のピークが45才~49才となっており、他の製造業全体よりも5年ほど早くピークを迎えています。この原因として、建設技能者は、異なる事業者の下で、様々な現場で日々業務に従事しており、個人を能力評価する為の業界横断的な統一の仕組みが存在せず、本人の現場管理や後進の指導育成といったスキルが適切に評価されず、処遇改善がされにくいといった業界の構造的な問題が指摘されてきました。

(2)仕組みと目的

 この処遇改善と人材確保の課題を解決する為、国土交通省、産業振興基金、民間団体が一体となって構築したシステムが建設キャリアアップシステムです。建設キャリアアップシステム(CCUS:Construction Career Up System の略)とは、建設工事に従事する技能者の保有資格、社会保険加入状況を登録し、工事現場での就業履歴を蓄積する建設業界全体での統一の仕組みで、2019年4月に一般財団法人建設業振興基金が主体となり運用が開始されました。この仕組みを活用し、技能者の技能レベルを適正に評価し処遇の改善に繋げ、また、CCUSを導入し、技能者を雇用し育成する建設業者が伸びていける環境を整備することが目的となっています。CCUSを普及させることで、特に若年層の技能者が将来に渡って安心して働ける建設業界を作り、業界の人材確保に繋がることが期待されています。

(3)利用手順

 CCUSのおおまかな利用手順は以下の通りです。

  1. CCUS登録(事業者登録、技能者登録)
  2. 現場登録(現場契約情報の登録)(※元請業者)
  3. 施工体制登録(※元請、各下請業者)、施工体制技能者登録(※各下請業者)
  4. 就業履歴の蓄積(※技能者)
  5. データの活用(技能者の能力評価、専門工事業者の施工能力の見える化、など)

 以上が、「建設キャリアアップシステム(CCUS)の概要」についての説明です。本記事では概要のみを簡単に記載しましたが、利用手順については、別の記事でその内容を詳しく説明していきます。CCUSは国土交通省が普及促進する制度で、5年間で全ての建設技能者(約330万人)の登録を目指して活動が積極的に進められています。また、CCUSに登録し実施することで、元請業者にとって、公共工事のCCUSモデル工事での企業評価や、経営事項審査での加点評価を受けられるといったメリットがあることから、今後、下請業者も含めて更に登録が進み普及していくものと思われます。こうした流れから、CCUSに登録することで、企業アピールや仕事の受注機会の増加に繋がると考えられる為、建設業者の方は早めに登録しておくことをお勧めします。行政書士は、建設業者様に代わってCCUSへ代理登録することができる専門家です。当ブログをご覧いただき、登録をお考えの際には、是非、当事務所にご連絡ください。当ブログ又は以下の当事務所ホームページからお問合せください。

「行政書士梅田ゆうき事務所」