(1)要件その③ ~誠実性~

三 法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人の場合においてはその者又は政令で定める使用人が請負契約に関して不正又は不誠実な行為をする恐れが明らかな者でないこと。

<引用>建設業法第7条第3号

 建設業許可を受ける為の要件の3つ目は、請負契約に関して誠実性を有していることです。上記の文中にあるように対象者は申請者のみではなく、その法人の役員等及び支店長や営業所長など(令第3条に定める使用人)も含まれ、同様に個人事業主の場合には支配人も含まれます。文中の「不正な行為」とは請負契約の締結又は履行の際における詐欺、脅迫、横領等法律に違反する行為をいい、「不誠実な行為」とは、工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について、請負契約に違反する行為をいいます。対象者において、別の法律(建築士法、宅地建物取引業等)の規定により不正又は不誠実な行為を行ったことをもって免許等の取消処分を受け、その処分から5年を経過しない者がある場合、原則としてこの要件を満たさないものとして取り扱われます。基本的に、許可を受けて継続して建設業を営んでいる者については、上記の様な事実が判明した場合を除いて、この要件を満たすものとして取り扱われます。

(2)要件その④ ~財産的基礎及び金銭的信用~

四 請負契約(第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事に係るものを除く。)を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。

建設業法第7条第4号

 建設業許可を受ける為の要件の4つ目は、請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していることです。軽微な建設工事を除く工事の請負契約において、この要件が求められます。この要件には具体的な条件が定められており、許可の区分(一般建設業又は特定建設業)によって異なっています。以下にまとめて説明します。

一般建設業での許可を受ける場合(次の①~③のいずれかに該当)

①自己資本が500万円以上であること

「自己資本」とは、法人の場合、財務諸表の貸借対照表における純資産合計の額をいい、個人の場合、期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額をいう。

②500万円以上の資金調達能力を有すること

500万円以上の資金調達能力」とは、担保とすべき不動産等を有していること等により、500万円以上の資金について取引金融機関の預金残高証明書又は融資証明書等(申請直前1カ月以内のもの)が得られることをいう。

③許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有するもの

申請区分が「更新」の場合、この要件に該当する。

特定建設業での許可を受ける場合(次の①~④の全てに該当)

①欠損の額が資本金の20%を超えていないこと

「欠損の額」とは、法人の場合、繰越利益剰余金が負である場合に、その額が資本剰余金、利益準備金及びその他の利益剰余金の合計額を上回る額をいい、個人の場合、事業主損失の額が、事業主借勘定の額から事業主貸勘定の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金を加えた額を上回る額をいう。これらの項目の金額は、財務諸表の貸借対照表を参考に算出する。また、この条件において繰越利益剰余金が正である場合には既に条件を満たしているため、計算を要しない。

②流動比率が75%以上であること

「流動比率」とは、貸借対照表中の流動資産合計額を流動負債合計額で除した数値であり百分率で表す。

③資本金が2,000万円以上あること

「資本金」とは、法人の場合、株式会社の払込資本金や持分会社等の出資金額、個人にあっては、期首資本金をいう。

④自己資本の額が4,000万円以上あること

「自己資本」とは上記の一般建設業を受ける場合の条件①に同じ。

 以上が「許可の要件その③、④ ~誠実性、財産的基礎又は金銭的信用~」についての説明です。当事務所のホームページにも建設業許可に関する情報を載せております。ご覧頂き、是非お気軽にご相談ください。※以下のリンクからホームページに移動できます。

「行政書士梅田ゆうき事務所」