(1)建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用メリット(事業者)①

 これまでの記事でも説明しましたが、建設キャリアアップシステム(CCUS)の目的は、技能者の技能レベルを適正に評価し処遇の改善に繋げること、また、CCUSを導入し技能者を雇用し育成する建設業者が伸びていける環境を整備することであり、CCUSを普及させることで、特に若年層の技能者が将来に渡って安心して働ける建設業界を作り、業界の人材確保に繋がることが期待されています。CCUSは今後、建設業界全体の制度基盤となっていくと考えられます。本制度を普及させ活用し、目的を達成させるためには官民が一体となって推し進めていくことが重要であり、建設業者はその大きな役割を担っています。では、事業者にとって、CCUSの活用メリットはどういったものが有るのでしょうか。まず考えられるのが、施工体制技能者登録をした技能者に関し、工事現場への入退場管理をデジタルで行う為、管理者による就業管理の効率化を図ることができるということです。その他にも、国土交通省では、CCUSの普及を目的とした施策を実施しており、CCUSの活用メリットが有ります。今回は事業者(主に元請業者)にとってのメリットについて説明します。

事業者(主に元請業者)にとってのメリット

① CCUSモデル工事による企業評価

 CCUSの活用メリットの1つ目は、公共工事におけるCCUSを活用したモデル工事です。本施策は令和2年度より試行されており、国直轄工事や地方公共団体、独立行政法人及び特殊会社によるモデル工事の導入が広がっています。また、本施策では、モデル工事を施工した事業者に対する企業評価がなされることになっており、公共工事受注機会の増加などのメリットが想定されます。例えば、国直轄工事ではCCUS利用の達成状況に応じて企業評価を行う事としており、実施例としては、直轄Cランク工事において、地元建設業協会の理解が得られた42の都道府県でモデル工事が実施予定となっています。また、地方公共団体では、令和5年3月時点で、39の道府県が企業評価の導入を表明し、その他の8都県においても導入の検討を表明しています。兵庫県や神戸市も企業評価の導入を表明しています。

② 経営事項審査における加点評価

 CCUSの活用メリットの2つ目は、入札参加資格審査の際に必要となる経営事項審査での加点評価となることです。内容は、審査対象工事において、CCUS活用における該当措置を全て実施した場合にW点(その他の審査項目(社会性等))が加点されるというものです。加点は、審査対象工事(※1)のうち、民間工事を含む全ての建設工事で該当措置(※2)を実施した場合に15点、全ての公共工事で該当措置を実施した場合に10点となります。この加点評価は、令和5年8月14日以降を審査基準日とする経審の申請で適用されることになっています。

審査対象工事 (※1)

以下の工事を除き、審査基準日以前1年以内に発注者から請け負った建設工事

  • 日本国内以外の工事
  • 建設業法施行令で定める軽微な工事(工事1件の請負金額が500万円未満であるなど、建設業許可が不要な工事)
  • 災害応急工事
該当措置 (※2)

以下の全てを実施した場合に加点評価となります。

  • CCUS上での現場・契約情報の登録
  • 建設工事に従事する者が直接入力によらない方法で、CCUS上に就業履歴を蓄積できる体制の整備(カードリーダーへのタッチ等)
  • 経営事項審査申請時、様式第6号に掲げる誓約書の提出

 以上が、「建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用メリット(事業者)①」についての説明です。今回は、CCUSを利用による事業者(主に元請業者)にとってのメリットについて説明しました。事業者にとっては、工事現場における技能者の就業管理の効率化だけでなく、元請事業者にとっては、国や地方公共団体などが発注者となる公共工事におけるCCUSモデル工事の受注による企業評価や、経審における加点評価などのメリットが有ります。この様に、公共工事の受注に関するメリットが有ることから、今後、元請事業者を中心にCCUSの普及が更に加速していくと思われます。事業者様におかれては、なるべく早く登録しておくことで、そのメリットを他社様よりも早い段階で受けられますので、是非ご検討ください。行政書士は、建設業者様に代わってCCUSへ代理登録することができる専門家です。当ブログをご覧いただき、登録をお考えの際には、是非、当事務所にご連絡ください。当ブログ又は以下の当事務所ホームページからお問合せをお願い致します。

「行政書士梅田ゆうき事務所」